2017年01月14日

第2回 寺宝茶会 浄土寺開創1400年記念 レビュー 

平成28年10月9日(日)、浄土寺(小林暢善住職)にて、
寺宝特別公開とともに重文建築群に親しむ秋の茶会として
茶の湯歳時記同好会主催(全国に会員四百名)、第2回
寺宝茶会が開催されました。

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今回は、浄土寺開創一四〇〇年並びに大修理完成記念にあたり、
浄土寺様の全面的なご協力による@秘仏「十一面観世音菩薩」
特別拝観と祈願札A聖徳太子・南無太子像展観B境内の重文建築群
及び、宝物館拝観C開創一四〇〇年御開帳記念散華進呈
D弘法大師の振舞料理を再現E薄茶席では、金剛流御詠歌と舞踊を
お聴き頂けるという、特典いっぱいの茶会になりました。

濃茶席

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濃茶席は裏千家が担当されました。露滴庵次の間にて、名残の季節の
鉄ヤツレ風炉に、藁灰を一本づつ丁寧に敷き詰めた灰景は、裏千家
独特の灰景です。亭主の心入れで、大変喜ばれました。
歴史深い露滴庵に、大変調和した取り合わせと、亭主の和やかで
落ち着いたお人柄や雰囲気が席に顕れているように思いました。
重文露滴庵の濃茶席は、不思議とゆったりとした空気が流れています。

薄茶席

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薄茶席は表千家流です。こちらは表千家らしい名残の季節の茶席と
なりました。露滴庵と梅の間の、それぞれの流派の名残の設えの違いは、
とても興味深いものがあります。徳川家お庭焼の鳳凰風炉は、貼付壁、
書院造りの梅の間の風情に非常に良く調和しています。
梅の間の襖は、福山藩御用絵師藤井松林によるもので、上流の滝から
海へと濯ぐまでの風景が描かれています。
亭主は卆寿を迎えられた先生で、若い世代へ美しい茶の湯の文化を伝え
たいと懸釜下さいました。亭主との会話も弾み、主客一体感のある
非常に素晴らしいお席となりました。

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薄茶席の次の間では、茶席が始まる前に、高野山金剛流御詠歌、
金永清純氏による御詠歌と、舞踊が披露されました。
十一面観世音菩薩様の特別公開に合わせて、仏教色豊かな演出とな
りました。御詠歌は濃茶席、薄茶席、待合に届きました。

点心席

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方丈の点心席では、「弘法大師の振舞料理」が再現されました。
弘法大師は、寺院での料理に関しても豊かな才能に恵まれた方でした。
「振舞の料理」は、弘法大師がお客をもてなす為に考案した料理と
言われています。質素な食材を、華やかに演出した興味深い料理でした。

2017年の秋、寺宝茶会は、茶の湯歳時記同好会行事から拡大され、
浄土寺の行事に組み込まれます。現在の規模から、定員も増える事に
なりました。次回もお楽しみに!


posted by etchuya at 10:34| Comment(0) | 茶の湯歳時記同好会

2017年01月13日

茶の湯歳時記同好会新聞 第42号

「上海の孤島、普陀洛迦山の慧鍔大師に御茶を差し上げて」檀上宗厚

丁酉の歳、私にも六回も巡って参りました。
お正月にはいつも「一年でなく、十年の計は歳旦にあり」と楽しんでいます。
尾道の向島にある亀森八幡宮の宇佐宮ご分霊に師匠より『お献茶の意義を
十分に習得して点茶をする様に!』と29歳の時、献茶式を仰せつかりました。
この教えを忘れず大切にしています。

この有難い貴重な経験のお陰でございましょうか、平成十年の春の事です。
浄土寺副住職小林暢善様が『中国観音霊場会の八周年にあたり普陀洛迦山の
慧鍔様にお参りされませんか』とお誘いがございました。

平安時代に中国に渡海した学僧慧鍔が望郷の念を抱きながら帰国叶わず
彼の地に観音霊場を開いた事を知って素直にお茶を差し上げたく思ったのです。

故人になられた金丸様と寺澤様、茶の湯の一番弟子の島田様と四名で
献茶式を行う事に致しました。早速に「中国の寺院に国際小包郵便で
お願いできますか?」と尋ねると『上海までは着きますが、普陀山ま
では無理です』と中国の諸事情に依り茶道具を個々に運ぶ事にしました。

平成十年九月三日、浄土寺研修道場前で長老様のご内室千枝様が
お見送り下さり、広島空港から八日間の旅でございます。暢善様は観音霊場会の
導師として千光寺様、仏通寺で修行中の中国学僧殷様、宮島の大照院塔頭ご住職、
広島の三滝寺様、岡山の西大寺様、備前の長法寺様など三十六名の
団長でもございます。

献茶式のお道具は檜垣風炉釜、棚は桐丸卓、桶川水差、天目台に三碗、
溜塗中棗、茶杓、春慶塗の建水、交趾蓋置、菓子器は浄土寺様の
三宝と茶、灰と炭、お香など持参いたしました。

九月五日、午前八時普陀山の西方浄苑の本堂で赤色のお袈裟に金糸が
眩い衣を纏った中国僧と質素な装束の日本僧の合同法要が終わると
慧鍔記念堂に移りお堂の厨子に黄金に輝いている慧鍔大師に
浄土寺観音の羽二重餅を三宝に山盛りにお供えして、三十人余りの
日中僧侶で再び法要が始まりました。

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慧鍔大師に供茶をされる浄土寺小林暢善住職


中国の般若心経はとても覚えきれない程の独特な心良い音色と
リズムでございました。続いて我が国の僧侶による聞き慣れた
般若心経が堂内に心良く響いて神々しく終えますと僧侶の見つめる中、
作法が始まり、袱紗を捌き、茶杓を清め、点茶した茶碗を暢善様が
鄭重に観音様にお供えされ、慧鍔大師様に、続いて全人代中国仏教会会長、
道生法師様にお茶を差し上げ滞りなく終えました。
すると不思議に堂内が観音様の慈悲に満ちた優しさと慧鍔大師の遺徳が
この上なく豊かに溢れ一座洗心の思いでございました。

お献茶道具の奉納を終えると道生法師様が
『茶が我が国より日本に伝わり作法を確立されました。本日ここに
里帰りして慧鍔大師にお茶をお供えされましたのは世界で初めての事で
ございます。謹んで御礼を申し上げます。
続いてこのご縁を大切にして参りましょう』と言葉がございました。

献茶式も終わり私の草履を捜していると、近くの寺守りの老女が
『貴方様の草履は、先ほど仏僧が手を合わせて懐に入れて持ち帰りましたよ』
「えっ、なぜですか?」と尋ねると
『大師様に功徳をされた貴方様から福を分けて頂く為でございます』と
何も無かったかの様にお陰かどうか解かりませぬが、お国が変われば
不思議な風習があるものでございます。

中国観音霊場会は平成二年に西大寺の坪井全広様、浄土寺小林海暢長老様、
明王院住職様によりご縁が結ばれたのでございます。

平安時代に渡僧が茶を伝え、我が国では遣唐使僧の最澄、栄西が中国から
茶の種を肥前に一粒、高山寺の明恵上人に一粒、宇治に一粒と一粒万倍に
なったのでございます。
応じて浙江省の径山寺で点茶作法を学んだ僧、南浦紹明や道元禅師により
仏様への供茶の作法が伝わったのでございます。ある長閑な晩秋のある日、
道生法師様より文と揮毫の色紙が届き、茶の湯はご先祖様へのお供茶に
始まりお供茶に終わると伝えてございます。

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前人代中国仏教会会長 道生法師揮毫の色紙
『深入經蔵』

時空を超えて中国で学んだ先人の法と志を小事に心を奪われる事なく
受け継ぎ真善美、豊かな茶の湯を伝えて参りますのも
茶人の楽しみでもございます。

(夏期号につづく)


posted by etchuya at 17:24| Comment(0) | 茶の湯歳時記同好会新聞

2017年01月05日

明けましておめでとうございます。 平成29年/2017年

明けましておめでとうございます。
本年もどうぞ宜しくお願い申し上げます。

私の元旦は、尾道の香積山・福善寺(三谷雄海住職)の護摩法要に
始まります。御本尊の薬師如来様に今年一年の無事を願います。
住職は私の幼なじみです。子供の頃から、変わることの無いお人柄に
惹かれています。

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護摩法要の様子(中央が三谷雄海住職)

薬師堂に入って、お経が唱えられ、太鼓と打ち物の鳴る中、
燃え盛る炎を見て、手を合わせているととても心が清浄になります。
今年も一年が始まりました。

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薬師堂の前には、梵字の書かれた大根がお供えされています。
参拝するとこの有難い大根を家に持ち帰って、お雑煮を頂きます。

境内では、お寺のお世話の方々が紅白のお餅をついたり、大根加持の大根で
おでん、薬師堂の炎で温められたお酒も振る舞って下さいます。
とても有難いお正月の行事です。

酉年の「酉」は、物事の「実り」や、完全に熟した状態を意味する言葉だそうです。
なるほど、サンズイを当てれば「酒」、解るような気がします。
収穫が出来たなら感謝し、また種を植えて精進を重ねなさいという一年でしょうか。


お寺を出て、近くのショッピングセンターに行くと、こちらも
毎年の恒例行事『尾道ベッチャー太鼓』が披露されます。
江戸時代の昔、尾道に疫病が流行った時、それを打ち払う為に始まった
お祭りに、ベッチャー・ソバ・ショウキーの三人のご神体が出て、
市中を練り歩きます。

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太鼓では、ベッチャー・ソバ・ショウキーが太鼓を打ち、その後、
尾道ベッチャー太鼓の皆さんが演目を披露されました。
お正月の太鼓の音は、腹に深く響いて、心地の良いものです。

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今年も皆様の無事を願って、茶の湯の行事を続けて参ります。
本年もどうぞ宜しくお願い申し上げます。

茶道具商級z中屋
檀上裕紀








posted by etchuya at 13:39| Comment(0) | 日記