2017年04月11日

第1回聖トマス小崎茶会 レビュー

平成28年12月3日(土)、三原カトリック協会(アルナルド・ネグリ神父)に於いて、
第1回聖トマス小崎茶会が開催されました。トマス小崎は、桃山時代の人で、
禁教令下、手足を繋がれて京都から長崎への九〇〇kmに及ぶ殉教の途にあった
26人の敬虔なキリシタンひとりでした。
雪が舞う三原城では慈悲深い小早川隆景公が食と薬、一夜を与え、そして14歳だった
トマス小崎少年は、三原城内で伊勢の母に宛て最期の文をしたためました。
この一行は、ルイスフロイスによって、日本の二十六聖人としてバチカンに
伝えられ、三原(miwara)の地名も書き残されています。

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供茶式の様子(トマス小崎殉教碑前)

午前9時より聖トマス小崎殉教碑前にて玉壷会会長、難波宗幸氏による供茶式が
執り行われました。銅像の脇に立礼式の点前座を設け厳粛な雰囲気でお茶が点て
られて行きます。釜からは素足のままの小崎像に向けて茶烟が上がります。正装
したカトリック協会のネグリ神父と侍者によってお菓子とお茶が供えられました。
トマス小崎と26聖人に対する供茶式は、今回が初めての事で、天満祥典三原市長も、
お忙しい中駆けつけて下さいました。沿道には沢山の人が供茶式を見守り、
掌を合わされました。

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供茶式終了後、カトリック教会で薄茶席が始まりました。教会の中央には、
トマス像と、クリスマスの飾り付けがしてあります。教会の中でのお茶席も
初めての試みで、お客様方も大変楽しみにしておられました。
お席には、二十六聖人に想いを馳せ、追善の意を込めた取り合わせと共に、桃山
時代のキリシタンや茶人たち、様々な世界の文化が交流した時代背景にまで話題
が登りました。利休七哲にはキリスト教徒も多く、洗礼名を持った茶人も少なく
ありません。昔、京都や堺の教会では、畳を持ち込んでの「教会茶会」が頻繁で
あったかも知れません。そういった雰囲気を感じる事の出来る素晴らしいお席で、
ネグリ神父によるトマス小崎のお話も大変興味深いものでした。

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今回のお茶会のもうひとつの見所は、広島平和記念聖堂、山口ザビエル聖堂、
国際基督教大学、広島サンプラザ等でコンサート活動を行うプロのパイプオルガン
奏者、吉田仁美氏のご奉仕による演奏で、茶会前から大変話題になっていました。
お茶席の始まりと終わりに、教会に響くパイプオルガンの調べは、お茶席の
雰囲気と余韻を一層深めてくれました。お客様の中には生のパイプオルガンの音
を初めて耳にする人も少なくありませんでした。クリスマス曲、賛美歌の他、ク
ラシック音楽も披露され、迫力ある演奏でした。

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点心席は、地元三原の食材を使ったクリスマスの点心が振る舞われました。
お昼前から大変な賑わいで、トマス小崎と26聖人の映画も放映されました。

聖トマス小崎茶会開催に際して、企画段階から最大限のご協力を下さいました
カトリック教会ネグリ神父、茶会準備に際して、トマス像敷地や教会を綺麗に清め
られ、快くご奉仕下さいました教会関係者様、シスター方々、素敵な演奏をご奉仕
下さいました吉田仁美様に深く感謝申し上げます。
 

posted by etchuya at 10:44| Comment(0) | 茶の湯歳時記同好会
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